
夏の終わり、
今年の暑さの中で誕生した女の子。
ご家族は、少しでも赤ちゃんに負担のないようにと、
初宮参りを涼しくなった11月に計画してくださいました。
産泰神社は、
赤城おろしの風が吹き抜けるこの季節ならではの空気に包まれていて、
澄んだ青空の下、どこか清々しい緊張感と温かさが入り混じるような朝でした。
遠方からお越しになった祖父母様も揃い、
赤ちゃんを囲む笑顔はどこか誇らしげで、家族の絆を感じさせるスタートです。
駐車場に着くと、初めてお会いする赤ちゃんは小さな体を包むように抱かれ、
まんまるな目でこちらを見つめてニコニコ。
人見知りをすることもなく、ご機嫌そのもの。
私もその笑顔に癒されながら
「今日はいいお参りになりそうですね」と顔を見合わせました。

ところが、
お参りの着物を掛けた瞬間、
空気が変わったのを感じたのか、
急に大きな声で泣き出してしまいました。
静かな境内に響く泣き声に、思わずみんなが優しい笑みを浮かべます。
「あらあら、びっくりしちゃったかな」。おばあちゃんが抱っこを代わってあやしながら、
少しずつ落ち着くのを待ちます。それでも泣き止まない様子に、授乳スペースで一休みすることに。
お腹が満たされると、さっきまでの涙が嘘のように、すやすやと眠りにつきました。
その寝顔の穏やかさに、皆がほっと一息つきます。
赤ちゃんのペースを大切にしながら、焦らずゆっくり。
お宮参りは、決して予定通りに進むものではありません。
むしろ、その一瞬一瞬が“今しかない家族のかたち”を映し出す大切な時間です。
寝ている間にご祈祷を受け、神職の方の祝詞の声が静かに響く中、
すやすやと眠る赤ちゃんの姿はまるで天使のよう。

ご祈祷が終わるころ、境内の木々の間から陽が差し込み、
金色に輝くような光が家族を包み込みました。
パパは安産祈願のときに授かったお守りを大切に手に取り、抜けびしゃくを丁寧にお返しします。
その姿に、またひとつの節目を感じる瞬間でした。


ここからはフォトタイム。
おばあちゃんに抱っこを代わると、ちょうどタイミングよく赤ちゃんが目を開けてくれました。
ぱっちりとした瞳がカメラを見つめ、その瞬間、みんなの表情がふわっと緩みます。


ママが「おはよう」と声をかけると、赤ちゃんがにこっと笑って応えるように口角を上げる。
月齢が進んで表情が豊かになってきたこの時期ならではの愛らしさに、撮影する側も自然とシャッターを切る手が止まりません。
パパもおじいちゃんも交代で抱っこして、赤ちゃんに話しかけたり、頬をつついてみたり。
赤ちゃんは泣いたり笑ったりしながら、そのたびに家族の笑顔が連鎖していきます。


写真には、ただ「お宮参りをした」という記録以上に、“家族みんなで赤ちゃんの成長を喜ぶ姿”が映り込んでいきました。


途中で風が少し冷たくなってきたので、赤ちゃんを毛布で包み直しながら、最後に駐車場へと戻ります。
そこには、車の中で待っていてくれた家族の一員、かわいいワンちゃんの姿。
ワンちゃんも尻尾をふりながら赤ちゃんを見つめ、赤ちゃんも目を細めて不思議そうに見返しています。
その微笑ましい瞬間を逃さず、家族全員そろって記念の一枚。


風の音、赤ちゃんの吐息、みんなの笑い声――それぞれが混ざり合って、穏やかで優しい時間が流れました。



お宮参りの日は、天気や時間、そして赤ちゃんのご機嫌までもが一つひとつ違う、世界にたったひとつのストーリー。
そのすべてを無理なく、赤ちゃんのペースに合わせて進めていくことで、ご家族にとっても心から穏やかに過ごせる一日になります。
泣いて、寝て、笑って――その全てが愛おしい成長の証。
きっと数年後、写真を見返しながら「この時は泣いてたね」「すぐ寝ちゃったんだよ」と話す時間が、
また新しい家族の思い出になるはずです。
今日のこのお宮参りが、そんな未来へと続く最初のページになりますように。
ロケーションブリーズ
